女の家は駅前のカラオケ店から近くすぐに着いた。
「……聖くんありがと。」
「ん……そのオトコと別れんじゃねぇよ。」
もしかしたら、オレは今アイツと同じことをしていたんじゃないかって。
「……う、うん。でも私っ!」
女は何か言いかけたけど口を噤んだ。
「……じゃあな。」
背を向けて歩き始めると後ろから女が走ってきた。
「私っ、笹木恵令奈(ササキエレナ)これ連絡先。」
何やら一枚の紙を差し出してきた。
「もう会わねぇよ。」
寝てはないが遊んだ女とか関係を作りたくない。
オレはその紙を受け取らなかった。
けどな、
「結構楽しかった。じゃあな恵令奈。」
「聖くん、待って!」
誰であろうと女は面倒だ。
何でも仲良くなると情が移る。
一緒に住んでるアイツだって。
アイツの初めてを全部もらうなんて言ってしまったのは多分……他の誰にも取られたくないオレの独占欲。
それはきっと、情が移ったからだ。
きっと、そうだ。