はぁ?そんな人って
こっちのセリフだ。



「どうせお前も猫被ってんだろ。お前良い加減に……」



顔を上げた女は涙を流していた。


とんだ演技力だな。



「……私っ、彼氏いるもんっ!」


しらーっとその泣き顔を見ていたが女はいきなりそう言った。



「へぇ、オトコいんの。それが?」


そう言いつつもオレは少し“昔”を見ているようで動揺した。



「でも……女の子からすごく人気で。私より周りの女の子を優先するようになった。」


女は涙を必死に拭いながら続ける。


「最近は肉体関係まで…って噂聞いてる。私が彼女なのに全然見てくれなくて…だから今日反抗するために合コンに参加したの。でも罪悪感でいっぱいになって…だから、聖くんと抜け出したの。」



女はオレの目を見つめて言った。

その言葉と瞳には嘘はなさそうだ。



「だけど、このまま帰りたくもなくて。ごめんなさい!聖くん振り回して。私はそんなこと考えてなかった。ごめんなさい。」


深々と頭を下げる女。

こんなことで許すような男じゃねぇが無理強いにするのは興味ない。



「……送ってやるから帰るぞ。」



「……聖くん、ありがと。」