「どういうことだよ?お前人間じゃないのか?」

ありえない。そんなこと普通ではありえない。
そんな当たり前の質問を投げかけると、帰ってきた返答はとんでもない内容だった。

「うん。人間じゃないよ。うーん...、獣型獅子族の火属性。まぁわかんないか。」

獣型?獅子?火?...それって...、

「お前バケモンじゃねえかよ!?」

驚きのあまり飛び退き、■から距離をおく。

「化け物、か...。やっぱりそうだよね...。」

化け物という言葉に■は少しさみしそうな表情をするも、すぐにその表情をひっこめた。
その反応におどおどと謝罪の言葉を並べる。

「いや、なんか、気に障ったなら、謝る。ごめん」

「いいよ。慣れっこ、慣れっこ。
...さっき呼んだ奴が来るまでこの世界の話をしようか」

ひきつった笑顔を見せ、話題を変える。
確かに何千年も前に魔人類だとかいうものが現れたとかなんとかっていう話は聞いたことがある。それが目の前にいる。まさか本当にいるとは...。
■は慣れっことは言っているが相当辛い思いをしたのだろう。

「...随分前に私たち"魔人類"がいきなり人間界に飛ばされるっていう事があってね」

魔人類...。魔界、というところから来たと祖父の部屋で見た古書には記されてあった気がする。

「その時人間は魔人類を化け物って言ってね。襲われたり捕まったり...。いろいろされたっけ。
私もそうでね、...ほら。この傷。その時のだよ。私は能力持ちだったから逃げ切れたんだけどね...。」

そう言って■は右腕の大きな傷跡を見せた。よほど深く切りつけられたのだろうか...。その部分だけ皮膚の色が白くなっていた。

「...ん?おい、ちょっと待て、何千年も昔に起こったことなのに何でお前に傷があるんだよ?」

何千年も生きれる訳がないし、しかもこいつは俺より年下だ。おかしい。

「え?人間って...、え?普通1万年は生きない?私今2千歳だよ?」

「は?」

あまりの事実に空いた口が塞がらない。
2千?20の間違いではないだろうか?

「え?え?じゃああんた今何歳?」

「18...だけど?」

「ええええ!?何それ本気で!?人間ってそんなに寿命短いの!?」