「ね!和穂!見て見て!新しい制服、似合うでしょ?」




『あ?あぁ、似合う似合う。よく似合ってますよー』




「ちょっとちゃんと見てないでしょ!言い方が棒読みなのバレバレ!」




『…たかが中学の制服で舞い上がってるクソガキに構ってるほど暇じゃねぇんだよ、こっちは』




「もうクソガキじゃない!中学生なんだからね!」




中学生は十分クソガキだ。




和穂は口ではそう言いながらも、乱れた制服の襟元を直してくれた。




新しく出来た友達のこととか、お父さんとお母さんのこととかたくさん和穂に話したのを覚えてる。




その時も和穂はただ黙って聞いてくれてた。




自分にとってはどうでもいい話だけど、ちゃんと聞いてくれてた。