何だか、頭に温もりを感じる。
いつも遠ざけようとしてもあたしから離れようとしてくれない、煙草の匂いがする。
そしてあたしの頭を優しく撫でるのは大きな手。
この手に何回あたしは頼ってきたのだろう…
そんなことを思いながらゆっくりと目が開く。
目を開けて上を見れば、真上にいたのは和穂の顔。
「…か、ず…ほ…?」
まだ寝起きのあたしは呂律がうまく回ってない。
笑いもせずに和穂はあたしを見下ろして頭を撫でている。
「…起きたか、愛羅」
ドキッ
何で急に名前で呼ぶの?
いつもは「クソガキ」って呼ぶのに、あたしのこと。