【side 和穂】
数学の予習問題を愛羅に渡す。
これは予習問題だから、愛羅が解けるはずがない。
これで間違えさせて俺の言うことをたくさん聞かせるという魂胆。
だったはずだが…
なんだ、愛羅(こいつ)の余裕そうな表情は。
まさか問題を間違えないように態々予習してきやがったな、こいつ。
自分では気づいてないようだが、口角が若干上がってる。
「…はい、出来たよ?」
そしてドヤ顔でプリントを渡される。
チッ、つまんねぇ。
とは言ってももしかしたらミスがあるかもしれねぇ。
俺はその淡い期待を信じて採点をする。