お母さんが息を引き取ってから、意識がはっきりしてきた。
そして事件の詳しいことを聞いた。
信号無視の車は居眠り運転だったこと、直に車にぶつかったお父さんは即死だったこと、
一時意識を取り戻したお母さんは奇跡に近かったということ。
あたしは強く打ちつけられた、右腕右脚を骨折しただけで怪我が済んだことも聞いた。
お父さんとお母さんの遺体と対面した。
生きてる心地がしなかった。
あたしもほんとは死んでるのかな…?
だって死んで遠くにいってしまったお父さんとお母さんが近くにいるようだったから。
ガラッ
病室のドアが勢いよく開いた。
ゆっくりと開いたドアの方を向くと、そこには息を切らした和穂がいた。
「…かず…ほ…?」
名前を呼んだら強く抱き締められていた。