お母さんの手がゆっくりとあたしの方へとゆっくり伸びてきた。
あたしも左手に力を込めて手をお母さんの方へと伸ばす。
届いて!お母さんの手をとれば助かるような気がするから。
「…愛羅…あなた……を…」
"愛してるわ"
最後のこの言葉はあたしの耳には届かなかった。
そしてお母さんの手もあたしの手に届くことなくクタリと垂れた。
「…お母さん?ねぇ、お母さんってば聞こえてるんでしょ…?
まだ買い物に行ってないよ?起きて?早く買い物しに行こうよ。
…っ、おかあさん…お母さんって…ば…!」
涙が止まらない。
お母さんが死んだなんて嘘だよ、そう思っても涙が止まらない。