『お母様!私の声、聞こえますか!?』
『出血がひどい…これはもう…』
救急車の中であたしはまた意識を手放して、慌てている声を聞いて目を開ける。
目の前には看護師と思われる人の顔があった。
『良かった…!先生、子供が目を覚ましました!』
看護師は左側を見ていた。
あたしも釣られて顔だけ左を向けると、そこにいたのは変わり果てた姿のお母さん。
それを見て全てを思い出した。
そうだ、信号が青になってすぐ飛び出したあたしに信号無視の車がきて…
それに気付いたお父さんとお母さんがあたしを庇ったんだ。
「…あ…あい…ら……」
お母さんの声が聞こえて左側を向く。
かろうじて目を開けてるお母さんはこっちを微笑んで見ていた。
「おか、お母さん…お母さん!!」
やっと口から声が出た。