私はコートに戻る時も頭の中に入ってるのは雅木の言葉だけ。

『俺だけのお前でいてくれよ…』

この言葉の意味は遠まわしに言うときっと告白にしか聞こえなかった…。
それは私だけだろうか…?

戻ったら、飛鳥が心配した顔をして走ってきた。

「菜月大丈夫!?」

本当に心配してる時の顔だった。

「大丈夫だよ。何もされてないからね」

安心の息を出しホッとした顔になった飛鳥は何かを決断したような顔をしていた。

「じゃあ、今日はもう帰ろうか!」

私は笑顔でうなずき、みさの所に行った。

「みさごめんね心配かけて…」

みさは泣きそうな顔で

「そんな事ないよ!無事なだけでよかった!」

そう言って私はお詫びに明日も来ると言いみさと別れた。

その日の帰りはテニスについて話してまっすぐ帰った。

でも飛鳥やみさと話しても…。
ご飯を食べても…。
お風呂に入っても…。
勉強しても…。
眠ろうとしても…。

何をやっても雅木の言葉が私の中から消えることは無かった。

私はその日夢を見た。

夢の中には翔子が居た。
翔子は私に何か話している。
でも、何かは全く分からない。

最後に私は翔子に海に落とされた。
海の中から見えた景色で亮磨らしき人が笑って見えた。

私は怖くなって目覚めた。
まだ朝の2時だった。
私はもう一度寝ることにした。

寝た時にもうこの夢を見ることは無かった。