雅木は完全にフリーズ状態だ。

「な、何言って…」

「ずっと前からだよ!!小学生の時から今までずっと!!何度も諦めようと思った…。菜月の事好きだった時も、今も。何度も何度も諦めようと思った!!でも!!無理だったんだよ。それぐらい好きなんだよ!!わからないでしょ!?雅木には!!ウチの気持ちなんて!!わからないでしょ!!」

ウチは息を切らしていた。
雅木は一度悲しい顔をした。

そして口を開いた。

ウチは何を言われても良い覚悟をしていた。
もう嫌われても良い…。

「ありがとう…な」

雅木の言葉にウチは耳を疑った。

「何でお礼を言うの…?」

「だって嫌われているよりも良いじゃん?それに俺も昔、飛鳥の事が好きだったから」

「えっ…?」

「でも記憶が無くなってから俺は菜月しか見えなかった…。もしかしたら菜月と飛鳥を被せて見てたのかもしれないなぁ…」

「な、何それ…」

「今は…。未来しか見えない…。だから…」


雅木はウチの好きな笑顔で笑って言った。

「ごめんな…」

ウチは頷いた。
当たり前だもんね。


それから畑山が帰って来た。

きっと待っていてくれたんだろう。

ウチはそれからの誕生日会を心の底から楽しむ事が出来なかった。

その後だ。
畑山と家に帰っていた時だった。