その日の帰り。
また電車に乗った。

電車から亮磨は空港に行く。
その空港は私達が降りるバス停のすぐ近く。

「本当なのかな…」

私がそうつぶやくと隣の雅木は「ん?」と言う顔をしていた。
そして私は心を整理するために雅木にあの事を聞いた。

「あのさぁ…。未来の事だけど…」

私が聞こうとした事がわかったのか雅木は私の言葉をかき消すように話した。

「俺は間違ってるのか…?」

「えっ?」

「消したい気持ちを消すために人を利用するのは…」

私はその時この人が正気じゃ無くなってるの気がついた。

「雅…木…?」

「俺は…。大山も利用しちゃいけないのか?」

その言葉を聞いて私は未来の言葉を思い出した。

『どんなに利用されようと!!どんな事があっても私は飯沼君が好きなの!!』

そして私は初めて人を叩いた。
しかも平手打ちだ。

「ぃって…」

「最低…」

「何だよ!?何が最低なんだよ!?」

「何だよじゃないわよ!!何が利用をしちゃいけないのか?よ!!普通にありえないでしょ!?何で未来の気持ちわかってて…。そんなの人として最低だよ!!」

私は大きな声で言い過ぎたせいかみんなから注目を浴びている。
一番ビックリしてるのは未来だ。

「…ごめん」

そう言ったのは雅木だった。

「えっ?」

「俺…。間違ってた…」

「雅木…」

「俺、もう一度よく考えるわ」

そしてまたいつもの笑顔に。

「うん!!」

私も笑顔になった。

そして電車は止まった。
亮磨との別れが近くなっていた…。