俺がいじめられてたのは5年。

中学は関わった奴は全員バラバラに。
俺は小学校から離された。

まぁそうだろうけどな。

俺はいじめられるのはもう嫌だった。
だから転入する学校で作る事にしたんだ。
『偽りの自分』を…。

「高島せなです!よろしく!!」

俺は無理に明るくふるまった。
無理に笑った。

それが一番楽だった。

みんなは俺に普通に接してくれた。
そしていじめもなかった。

みんなは俺が偽りの自分である事に気付かなかった。

いや…。
一人だけ気付いていた。

俺を見る目が一人だけ違った。
みんなよりも慎重に見て、積極的に俺に関わらずと言った感じだった。

まぁそれが前田だ。

そして俺がクラスに馴染んだ頃。
前田は動き始めたんだ。

「あの…」

前田は恐る恐る俺に話しかけた。
俺もビックリしたが偽りの笑顔で返事をした。

「何?」

すると前田は少しうつむいて小さい声で言った。

『やっぱりお前もか…』

「えっ…?」

そして大きく息を吸い前田は俺に言った。

「あのさ、いい加減疲れただろう?」

「はっ…?」

「偽りの自分に…」

俺は驚いてしまった。
こいつには何で俺がわかったのか…。
その事に驚いてしまった。

「な、何言って…」

「素直になれよ」

「お、お前に何がわかる…?」

「わかるさ…」

「えっ?」

そして悲しい顔で前田は俺に言った。

『お前は俺と同じだから』