~千沙side~

大きな大志の腕に包まれて、あたしはカナタがゆっくり動きだしている事に気がつかなかった。


ふと視線を足元へやると、大志の後ろに松葉づえが見えた。


声を上げる暇もない。


大志の言葉が、途中で途切れた。


ドスッと鈍い音が倉庫内に響く。


「きゃぁっ!!」


あたしの悲鳴と同時に、大志の体が崩れ落ちた。