「カナタ、出てこい!!」


一歩倉庫へと踏み入れ、そう声をあげる。


しかし、カナタの姿はどこにも見当たらない。


この倉庫内に身を隠すとすれば、奥の方に置いてある雑多の荷物の間くらいしかない。


とりあえず、俺は千沙を拘束しているロープをほどくことにした。


ロープは細い千沙の体にきつく食い込み、手首には赤く跡が残っていた。


「千沙、平気か?」


「大志……どうしてきたのよ」


千沙が、泣き出しそうな顔で俺を見る。