うずくまる視界の中に、男の足が見えた。


俺は咄嗟に、体勢を低くしたままその足に蹴りを入れた。


不意をつかれた相手が地面に倒れ込んだのを見計らって、その体に馬乗りになった。


この野郎。


千沙をこんな場所に閉じ込めやがって、絶対に許せねぇ!!


次々と湧いてくる怒りをぶつけるように、俺は相手に殴りかかった。


何度も何度も、繰り返し相手の顔を殴る。


こいつが誰なのか、俺は知らない。