部屋のドアを開け、中に入り、

静かにドアを閉めた途端、私はその場に座り込んでしまった。

だって、全身の力が一気に抜けてしまったから。


不安だらけの中待ち合わせ場所に行った私に、

まさかの告白をした飛鳥さん。

こんな私に一目惚れなんて、信じられなかった。


たった一度、

会っただけで、一目惚れなんてするものなんだろうか?

ろくに人を好きになった事のない私にとっては、

未知の領域だった。

でも、飛鳥さんの話しを聞いてるうちに、

本気だと言う気持ちは伝わってきた。

本当に好きでいてくれるから、友達になろうと言ってくれたんだと思う。


私は飛鳥さんを好きになる事は出来るだろうか?

そんな事は全く分からないけど、

今日二人で一緒に時間を共にして、

安らぎと、楽しさ、そしてドキドキする、

不思議な、でも幸せだと感じる事の出来る時間となった。


…でも、この先、また二人で同じ時間を共有することが

できるのか、それは全く分からない。

彼は、西条株式会社の西条社長。

とても忙しい人。一分、一秒が、彼には大事な時間だろう。

その中に、私が入る余地はあるのだろうか。

それを考えるとなんだかとても寂しく感じた。