食事を終わらせ、俺の運転する車で、

薫子を家まで送り届けた。


「今日は美味しい食事ごちそうさまでした」

そう言って、薫子は微笑んだ。


「いや、凄く楽しかったよ」

俺もそう言って微笑み返す。


「それじゃあ、また明日」

そう言った薫子の顔には、今日の中で一番の笑顔が

浮かんでいた。


…この場で、ギュッと抱きしめたい衝動に駆られたが、

薫子を驚かせるわけにはいかないと、

その気持ちをグッと堪えた。

…薫子は、何事においても可愛すぎる。

表情一つ一つ、しぐさ一つ一つ・・・

どれをとっても、可愛すぎだ。


こんな事を、他の男の前でも、してると思うと、

今すぐにでも、自分の物にしてしまいたい。

他の男に見られることも、

ましてや触れられる事なんてもっての外だ。


「…薫子」

マンションの中に入っていく薫子を呼び止めた。

本当はもっと、一緒にいたい。

でもそれは口にできない。

「どうかされたんですか?」

薫子はキョトンとした顔で、俺を見ている。