『相手が来たら、すぐに料理を出してくれ』

店の店員に頼んでいたことが幸いした。

彼女は料理を見つめている。

料理を食べていれば、そのうち意地悪心も落ち着いてくるだろう。

そう思っていた。


・・・その思いは現実となる。

落ち着くと言うより、とても和んだ。

薫子があまりにも美味しそうに料理を食べるから。

…今まで、こんなに幸せそうな顔をして

食事をする女を見たことがない。

どこか気取っているか、遠慮しているか、

一緒に食事をしていても、ちっとも楽しくなかった。


でも、薫子は全く違った。

美味しそうに食事をし、楽しい会話をしてくれる。

俺の話しを真剣に聞き、頷いてくれる。

時にはそれに質問し、俺が答えるととても満足そうな顔をしていた。


女性との食事がこんなに楽しいものなのか。


初めて知った感覚に、幸せな気持ちが溢れ出す。

薫子と付き合いたい。

そう思った、心から、真剣に。

だから俺は薫子に告白した。

『一目惚れした、キミに』・・・と。