今日は、本当に何事もなく順調に仕事を終えた。

書類を整理し、片づけた。

…只今、午後5時25分。

少しゆっくりとして、心を落ち着かせたら、

彼女との待ち合わせの場所へ行こう。

そう思い、行きつけの店に行こうと立ち上がった。


その時だった。


社長室の電話が鳴り響く。

俺はそれに出て対応する。


「…どうした、石坂?」

電話は内線で、取引先でトラブルが起きたとか。


『ほとんど鎮静化していますが、確認の為、

社長にもお越し願いたいと連絡が入りまして』


「…分かった、表に車を回してくれ、すぐに行く」

受話器を下ろし、深く溜息をついた。

…全く、何だってこんな時にトラブルなんて起こすんだ?

もし、待ち合わせに遅刻でもしてみろ・・・

取引を取り消してやる。

そう思うくらいイラッとしたが、相手は取引先。

無下には出来ない事は分かってる。

仕方なく、鞄を持ち、社の外まで急ぐ。

玄関ホールで石坂が待っていた。

「すぐに終わると思いますので・・・

必ず、待ち合わせ時間には到着させます」


「・・・頼む」