「今夜は運よく、夜に仕事は入っていません。

ですから、僕が彼女と二人で話す場を作ります」


「・・・どうやって?」


「僕に任せてください。悪いようにはしませんから」


そう言って石坂は何か企んでいる笑顔を見せた。

・・・仕事に置いても完璧に事を進める石坂だと言う事は、

俺が一番知ってる事。・・・だが、

今回の事に関しては、張り切り方が違う。

不発に終わるんじゃないかと、思わずにいられなかった。


「…石坂に任せるよ」

そう言って俺は溜息をついた。

そして目線をあげると、薫子の隣の男と目が合った。

男の名は、水野仁。

水野は俺に不敵な笑みを見せ、席を立つと、

薫子たちの席から離れて行った。

…水野は、俺が薫子をずっと見ていた事に気が付いていた。


俺は、本当に水野が嫌いだ。

あの不敵な笑みは、俺に対する挑発なのはわかった。

…じゃあ、水野も薫子狙いか・・・

それなら尚更、事を急がねば・・・

あんな男に薫子を取られてたまるか。


彼女は俺の『運命の人』なのだから。