「夕飯はまだだろう?」

社長の言葉に、小さく頷いた。

ビールを頼んだものの、ほんの一口口に付けただけで、

料理だってこれから頼むと言う時に、

こちらに来たのだから。


「食べながら話は出来る・・・それとも、

フランス料理は嫌いか?」


「…いいえ、好きです」

私の言葉に微笑んだ社長は、食べるよう促した。


…一口、その料理を食べた。

…う~ん、美味しい!

私は頬を緩ませ、幸せそうな顔で料理を食べていく。


「そんなに美味そうに料理を食べる女は初めて見た」

「・・・そうですか?」

キョトンとする私に、社長は笑った。


「遠慮気味に食べる姿しか見たことがなかったから…」

「そんなもったいない!

美味しい料理は、美味しくいただくからいいのに」


「フッ。その通りだ…」

これをきっかけに、なんだか和やかな雰囲気になった。


ここに呼ばれた理由など忘れてしまう程、

料理に夢中になっていた。