…誰かが私に服をかけてくれて、

そっと労わるように、優しく抱きしめてくれた。

「・・・薫子、助けに来るのが遅くなって悪かった」


…改めて、その声を確認した。

恐怖は一気に消えていく。

そして私の語感がフル回転し始める。

・・・抱かれた感触。

…私の頬に触れた唇。

…私の大好きな甘い香水の香り。



「・・・飛鳥さん」

私は力いっぱい飛鳥さんを抱きしめていた。


「ずっと、須藤の態度が気になってたんだ。

だから、何人かに須藤を見張るように言っていたんだ。

そしたら、薫子を連れて、ここに向かったと報告を受けて。

取引先から慌てて帰ってきた」


「・・・仕事」

ポツリと呟く。

飛鳥さんは優しく微笑み、大丈夫だと言った。


「どんなことよりも、君が大事なんだ。

ずっと、君を守ると言っただろ?」


その言葉に頷いた。