【薫子side】

日曜の晩、私たちは家に帰った。

結納や結婚式は、お互いの仕事のスケジュールを見て、

気長に決めていこうと言う事で話はついた。


…週明けの月曜日。

私は、新しいスーツに身を包み、会社に向かう。


「俺と一緒に行けばいいのに」

「…ダメですよ。まだ、正式に私たちの事は、発表されてないんですから」

「…それはそうだが」

「私は電車で行くので、飛鳥さんはゆっくり後から来てくださいね」

「・・・」

私の言葉に納得はできていなかったみたいだけど、

渋々頷いていた。


『西条薫子』

これが今日からつける名札の名前。

西条、なんてちょっと気恥ずかしい。


「おはよう、・・・西条さん」

「おはようございます、須藤課長。わからない事ばかりですが、

宜しくお願いします」

私の言葉に、須藤課長は、微笑んだ。


…楽しい。…楽しすぎる。

デザインするのがこんなに楽しいものだったなんて、

知らなかった。