「…だから、いかんとは言えないよ。

…だが、さっき言ったように、結納も、結婚式も、

しっかりやってもらうぞ。…私の大事な、娘だから」


「…はい、もちろんです」


「・・・薫子、結婚おめでとう」

「・・・お父様」

星野会長の顔は、とても穏やかになっていて、

薫子を見つめるその瞳は、本当に愛おしいものを見つめる瞳だった。


・・・こうして、薫子の両親の承諾も得る事が出来た。

意外にあっさり事が運んだので、ちょっと拍子抜けしたが。


「今夜は、うちに泊まっていきなさい。

新しい息子とも、酒を交わしたいからな」


「・・・はい」


・・・その夜は、星野家で、盛大な祝い酒が振る舞われた。

薫子は、こんなに心の温かな優しい人たちに育てられたのかと、

改めて、思う事となった。



「…飛鳥さん」

宴を終えて、薫子の部屋で二人でまったりする。


「・・・どうした?」

俺は薫子の肩を抱き寄せ、問いかけた。