俺は凛とした態度で、星野会長に言った。

「順番を誤った事には、深く反省しております。

本来なら、挨拶を経て、結納を交わし、結婚式の前後位で、

籍を入れる。それが正しいのは分かってはおりますが、

薫子を、・・・薫子さんを守りたいと言う考えから、

先に籍を入れる事を勝手ながら決めさせていただきました」


行動に移した経緯を話した。

星野会長は、眉間にしわを寄せている。


「薫子を、守る…どういう意味だ?」


「私の会社のデザイン課で、心機一転、働く事を決めたからです」


「…虫除け、それが答えか?」

「・・・簡単に言えば」

…しばしの沈黙。

もっと怒りが増しただろうか?


?!!

突然、星野会長が、笑い出した。

その高らかな笑い声に、その場にいた皆が驚いている。


「…面白い。・・・その行動は、まさしく、私と一緒だな」

「え?」


「私も、マリアに言い寄ってくる男が気に入らないから、

マリアの両親の了承もなく、勝手に籍を入れた一人だ」

「・・・」