・・・そして迎えた週末。

薫子と俺は、実家へと車を進めた。

…森の中、薫子が依然消えてしまった理由がやっと理解できた。

こんな所に実家があるとは、誰が想像できる?


「…すみません、こんなに殺風景な所で」

「…いや、静かでいい所じゃないか?

街中より、こんな所の方が、何もかも忘れられて、

ゆったりできる」


車を駐車場に止めて、玄関の前に立った。

・・・流石は星野建設会長の自宅。

洋風な、豪邸だった。・・・薫子はここで、すくすくと育ったのか。


「ただいま、お母様」

「お帰りなさい薫子…いらっしゃい、西条さん」

そう言って最初に出迎えてくれたのは、

薫子とうり二つの、可愛らしい顔をした薫子の母だった。


「お久しぶりです…ホテルの一件以来ですね。挨拶になかなか来られず、申し訳ありません」

そう言って深々と頭を下げた俺に、マリアは、慌てて頭をあげさせた。


「いいんですよ?・・・龍之介からも、貴方の事は色々とお聞きしてますし。

…それより、貴方たち、もう、籍を入れたんですって?」


「お母様、何で知ってるんですか?」

薫子はまだ、言っていなかったようだ。


「貴女の事は、龍之介から逐一報告が入るの」

そう言って微笑んだマリア。