須藤の口角が、心なしか上がった気がした。

「何が可笑しい?」

「…なにがですか?」

「・・・」

…やはり、俺の見間違いだったか。


「部長と、人事には、話はつけておくから、

須藤、君が面倒見てくれ。薫子は、その手の仕事は

初めてだから、右も左もわからない」


「・・・わかりました」


「後」

「・・・何か?」


「数か月前、薫子が、この会社の受付嬢をしていた事は知ってるか?」

「・・・いえ、知りませんでした」

・・・その言葉は本当のようだ。

須藤の顔は、明らかに驚いている。


「元社員だったし、知ってる者もいるだろう・・・

しかも、彼女を狙っていた男の数も、半端じゃないと聞いてた。

だから、そっちの方も、気をつけてやってくれるか?

・・・薫子はその、天然だ・・・無意識に、男が寄ってくる」


「・・・そんな感じですね」

俺の言葉に同調し、フッと笑った須藤。

「・・・以上だ」

俺はそこで話を終えた。