・・・二人のサインをもらった俺と薫子は、

改めて区役所に婚姻届を提出し、はれて夫婦になった。

「これからよろしくお願いします」

薫子は俺の方を向いて、深々と頭を下げる。


「俺の方こそ、よろしく」

俺は薫子の頭を優しく撫でた。


・・・そして次の日、社長室に、一人の男を呼び出していた。

「社長、デザイン課の須藤課長がきました」

「…分かった、通してくれ」


「…失礼します。お呼びとの事なんですが、なんでしょうか?」

改めて須藤を見る。…ったく、薫子に近寄ってくる男は、

イケメンが多すぎだ、な。


「私の婚約者の件についてなんだが」

「・・・あぁ、はい」


「来週から、デザイン課で面倒を見てくれるか?」

「・・・え?!星野さん、働いてくれるんですか?」


「・・・西条、だ」

「…ぁ」


「正式に籍を入れて、私の妻になった女だ。

大事に扱ってくれ」

「・・・はい、わかりました」

…俺の見間違いだろうか?