・・・帰りは上の空で、それでもスーパーに寄る事は忘れず、

夕飯の買い出しをして帰った。

昼食は取るには取ったけど、ほとんど食べていない。

…薄暗くなってきて、回らない頭を、何とか回転させ、

夕飯の支度を始めた。


「・・・アチッ!」

・・・上の空で料理をしたせいで、指を火傷。


「どうした、薫子!」

ビクッ。・・・突然の声に、身をすくめた。

キッチンに入ってきたのは、いつもよりだいぶ帰りの早い飛鳥さん。


「お帰りなさい…今日は早いですね?

ごめんなさい、まだ、夕飯で来てませんよ」


「バカ!そんな事はどうでもいい。それより手を見せろ」

「え・・」

私が動き出す前に、飛鳥さんの方が素早く私の手を握った。

しかもその手を確認するとすぐに、袋に氷を入れて、火傷の部分に当てた。


「・・・飛鳥さん」

「全く、火を使ってる時は、気をつけないさい」

「・・・ごめんなさい」

私がシュンとするのに気付くと、飛鳥さんは慌てて私を抱き寄せた。


「怒ってるんじゃない。気をつけないと、こうやって怪我をするから、

それが心配なんだ」

「・・・」

飛鳥さんが心配してくれてるのは分かっている。