「究極の選択、でもないんだし、

結婚すれば?…それとも、社長との結婚は嫌なの?」


「そんな事、ありませんよ」


「じゃあ、是非、頼むよ。君と一緒に仕事がしたいから」


「・・・考えてみます」

「了解、じゃあ、いい返事待ってるよ」


・・・何?

何?何?何?何?

今何した?

私は自分の手を凝視した。

須藤は、私の手の甲に、チュッとキスをした。


何でそんなことしたの?!

飛鳥さんが私を婚約者だと言ったのに。

結婚してくれって今須藤、貴方の口で言ったのに。

言ってる事と、やってる事が矛盾してるよ。


…周りにいた社員達は、今のシーンを、誰一人見ていなかった。

それだけが、不幸中の幸い。…だった。