これ以上、仕事に首を突っ込むのはよくないかと思い、

私は立ち上がった。

「待ってください!」

「・・・」

行こうとする私の手をガシッと掴んだ須藤は離さない。

私は固まったまま、須藤を見つめるしかなかった。



「もしよかったら、デザイン課で働きませんか?」

「はい?」


「最近デザイン課には、パッとした人材がいなくて困ってたんです」

そう言って指しだしてきたのは、自分の名刺。

西条株式会社 課長 須藤純一

と、書かれていた。


「…ですが、私なんかではお役にたてないかと」

困った顔でそう言うが、須藤は全く引き下がる気配がない。


「オレの上司と、人事課には話はつけますから、

考えてみてください。貴女となら、上手く仕事が出来そうです」


「・・・はぁ」

そんな事を言われて、嫌な気がするわけもなく。

私は名刺を受け取り、立ち上がった。

「少し、考えさせてください」

「もちろんです」

・・・二人の間に、何とも言えない和やかな雰囲気が流れた。

「・・・薫子」