「その絵に、付け加えてもいいですか?」

「・・・どうぞ」

・・・大学ではデザインなんかもやっていた私は、

ササッと、その図に絵を書き加えた。


男の人は、その絵を凝視。

気に入らなかったかな。


「…ダメですか?」

「…いや、この絵にピッタリだ。あの!」

「は!・・・はい?」


男の人は私の両肩をガシッと掴んだ。

私は驚いて、身を縮めた。

それに気づいた男の人は、ハッとし、私から手を離した。


「すみません」

「…いえ、ちょっとビックリしただけですから」

「オレ、西条株式会社デザイン課の須藤 純一と言います」

「・・・はぁ」

「この絵、是非使わせていただきたいんですが、

貴女はどちらの会社に?」


「・・・」

無職。それが今の私の状況で。

「あの?」

須藤さんは、不思議そうな顔で、私を見つめる。


「…あの、言いにくいんですけど、私今、無職なんです」

「え?!」

「今日は知り合いに、ちょっと用で、ここに来ただけで。

その絵、気に入っていただけたなら、是非使ってください。

私はこれで失礼します」