そう呟いた私は、恐る恐る、玲子さんを見上げた。

すると、玲子さんは、驚きすぎて声も出ないと言った感じで、

私をただただ見つめていた。

…が、すぐにハッとし、私の手をガシッと掴んだ。


「ちょ、ちょっと!!それなら尚更行かなくちゃ!」


「・・・でも」


「何を迷ってるか知らないけど、行くわよ!」

「エ?!れ、玲子さん!!」

私を無理やり連れて、レジに向かい、


「お釣りはいいから!」

とカッコいい捨て台詞を店員に吐くと、

どんどん目的地へと向かっていく。


私は抵抗を試みるが、玲子さんはビクともしない。

…恐るべし。


やっと足が止まった時にはもう、

レストランの前に着いていた。


「・・・あ!」

私を見つけたのは、他でもない、社長秘書の石坂さんだった。

時計は7時15分。

私の所まで小走りにやってきて、安堵の溜息をついた石坂さん。


「来てくれないかと思いましたよ・・・

貴女の返事をまともに聞いてなかったのを思い出し、

さっきやっと携帯を見たら、貴女からの着信が

かなり入っていたので、断りの電話かと・・・」


…お察しの通りなんですけど。

そう思わずにいられない。