【薫子side】

お弁当を届け、受け取ってもらえた事に安堵し、

ルンルンで、下へと降りた。

帰りはスーパーに寄って帰ろう。

そんなことを思いながら、ロビーを歩いていた。

…すると、私の目に、一枚の紙が映った。

それはどこかの店舗の出来上がり図。

…なんだか、物足りない気がして、思わず、

それを持っていた男の人に声をかけていた。


「…あの、差し出がましいのは承知で言わせていただきたいのですが」

「・・・何か?」


「その絵、何かが足りないと思うんですけど」

「・・・」

私の言葉に、眉間にしわを寄せた男の人。

・・・やっぱり、おせっかいよね。


「…すみません、お気に触りましたよね。

今の言葉は忘れてください」


そう言って一礼すると、その場を去ろうと、歩き出した。


「貴女もそう思いますか?」

「・・・え?」

背中にそんな声が聞こえて、私は振り返った。


「…オレもそう思うんですけど、何が足りないのか、

さっぱりわからなくて」

そう言って私を見つめたので、

私は迷うことなく、その人に言った。