たくさんのおかずが詰まった、、いつもより大きな弁当。

その中から、数品を皿によそい、俺と石坂に差し出した。


「ゆっくり食べてくださいね?・・それじゃあ私はこれで」

急にそう言いだし、立ち上がった薫子。

俺は慌てて、薫子を止めた。


「薫子は食べないのか?」

「エ、私は、帰ってから食べるからいいです。

2人で召し上がってくださいね?」


そう言って、微笑んだ薫子は、俺達に一礼して、社長室を出ていった。


「…寂しそうですね」

石坂が食べながらボソッと呟いた。

…俺は持っていた箸をポロッと、落としてしまった。

…図星なのが、丸わかり。

それに気づいた石坂は、ククッと笑った。


「…俺を見て、楽しんでるだろう、石坂」

今まで思っていたことを、ぶつけてみた。


「・・・ちょっと」

ちょっと・・・だと?かなりの間違いだろ?

そう思ったが、あえてそれは言わなかった。


「ホント、美味いですね、星野さんの料理」

石坂は何か言われる前に、話しをすり替えた。

「・・・まあな」

そう言うしかなかった。