・・・見ずにはいられない、確認せずにはいられない。

だって、飛鳥さんの顔は、心なしか拗ねているように見えた。

…私にもわかってしまう程に。


「・・・薫子がせっかく作ってきたんだ。

石坂も一緒に食べればいい」

拗ねても、そこは大人。社交辞令でも何でも、

私が目の前にいるからには、そう言うしかない。


「…一度食べてみたかったんです。

いつも毎回、美味しそうなお弁当でしたから」

拗ねているのは分かっていたが、石坂さんの言った事は本心で、

やっぱり食べたい気持ちが勝っていたようで、そう言った。


「…是非、食べてください、ぁ、給湯室借りますね?

お茶を入れてきます」

私はニコニコとした顔で、そう言うと、社長室を出て行こうとした。


「いえ、それは僕の仕事」

石坂さんが言いかけて、私はそれを制止した。


「たまにはいいじゃないですか」

そう言って私はそそくさと給湯室に向かった。