「石坂さんは、2人の関係を知ってるんでしょ?」

玲子さんの言葉にブンブンと頷いた。


「石坂さんには、内緒で来たって、伝えとくから」

そう言った玲子さんは、私にウインクして見せた。

・・・思わず、安堵の溜息をつく。


「じゃ、じゃあ、行ってきます」

「はいはい、…ぁ、あの子には社長の大事な連れだって言っておくから。

アポなしでも通すようにも言っておくからね」


「ありがとうございます」

2人を横目で見ながら通り過ぎる。

…相変わらず不審な私を睨んでいた女の子は、玲子さんの耳打ちで、

驚き顔に変わっていた。・・・しかも、私に深々と頭を下げている。

玲子さんは一体どういう言い方をしたんだか・・・


私も頭を下げ、エレーベーターに向かうと、

さっさと乗り込み、上へと急いだ。


・・・考えてみると、社長室に行くのは、

初めてな気がする・・・


そんな事を考えていると、最上階の開ける場所に着いた。

・・・流石は最上階。眺めは抜群。

しばし、その景色に目を奪われる。


「待ってましたよ、星野さん」

「?!・・・石坂さん。…すみません、突然押しかけて」