・・・かくして始まった同棲生活。

男らしい落ち着いた部屋に、少しずつ、女の子らしい物たちが、

増えていく。あまりに増え過ぎると、

飛鳥さんに悪いかな、なんて思い、ちょっと遠慮気味に。


朝は、飛鳥さんより早く起きて、朝食とお弁当を作った。

「毎朝、ありがとう・・・でもな、

あんまり無理をしないでくれよ?ゆっくりな時はいいが、

朝早い時もあるんだからな」


そう言って飛鳥さんは私をいたわってくれる。

そう言ってくれるだけで、嬉しくて、もっと頑張っちゃいたくなる。

…でも、そんな日が1か月もした頃、寝坊してしまい、

どちらも作る事が出来なかった。


「ごめんなさい、飛鳥さん」

「いいよ、気にしてない、じゃあ、行ってくる」

そう言って私の頬にキスをした飛鳥さんは出社していった。


…ダメだ。やっぱり、お弁当くらいは。

そう思って、私はせっせとお弁当を作った。

飛鳥さんの好きな物をたくさん入れて・・・

変装して、こっそり、会社へ・・・



「…社長に面会…ですか?」

疑いの目で、受付嬢に見られる私。

…新人の子だろう。

「アポはお取りですか?」

「・・・いえ」

内緒で来たから、アポなんてとってない。
…どうしよう。