「これは、水野エンタープライスが、

これまでにしてきた数々の悪行が、すべて記された

大事な書類です」


「・・・なに?」

ニコッと微笑む龍之介に対し、怒りを露わにする水野。

オレは二人の動向を、黙って見守った。



「まぁ、調べれば、出てくる出てくる・・・

よくもまぁ、これだけ悪い事が浮かび、実行できましたね?

同じ会社を持つ身としては、尊敬しちゃいますよ・・・

反吐が出そうな程・・・」


「…星野、きさま」


「これを世間に公表すれば、水野は簡単に潰れるでしょうね?」

「・・・」


「…どうしますか?…そうだ、交換条件を出しましょう。

今後、一切、西条や薫子の邪魔はしない事。特に薫子には、

半径一キロメートルは近寄らない事。そうしてくだされば、

これは公表しない事にしましょう…どうです?簡単な事でしょう?」


「・・・龍之介」

オレは半ば呆れ気味に溜息をつく。

それに対し、龍之介は気味の悪い笑みを浮かべる。

…全く、龍之介が考える事はいつも、突拍子もない・・・