【東吾side】

お互いの気持ちを確かめ合い、

西条と、薫子が元に戻った事に安堵し、

オレはその場を離れた。

…ゆっくりと、とある人物たちの方に近づく。


「お疲れ、東吾」

そう言ってニコッと笑ったのは・・・


「ホント、役者でもないのに、疲れたよ龍之介」

「悪い、悪い、オレじゃああの役は無理だから」


「フッ…全くだ。・・・で、モトサヤに戻りましたが、

まだ薫子を奪いにかかる気ですか、水野さん?」


…龍之介の隣にいたのは、水野。

2人がモトサヤに戻るのを見届けさせると、

龍之介が連れて来たのだ。


「・・・あんなの、簡単につぶせる」

まだ、薫子の事を、諦める気はなさそうだ、めんどくさい男だな。


「…これでも、ですか?」

「「え?」」

水野の目の前に、書類の束をチラつかせた龍之介。

オレも知らなかったことで、驚き、目を丸くする。