間もなくして、駐車場に車を止めて、

街を歩き回った。買い物をしたり、食事をしたり、

ゲーセンまで行ったり・・・

…なんだかデートしてるみたいで、変な気分。


…気が付けば、辺りはもう暗くなっていて、

最後は、海浜公園に来ていた。


「ちょっと、温かい飲み物買ってくるから待ってて」

「・・・うん」

私は近くのベンチに座り、ボンヤリとしていた。

…どれくらい時間が経ったのか、わからないけれど、

東吾がなかなか来ないので、立ち上がろうとした。



「…キャッ」

…突然後ろから誰かが私を抱きしめた。

…不審者?・・・怖い。

怖くて、声も出ない。



「…東吾だよ」

「東吾・・・さん?」


「・・・あぁ。・・・薫子、ちょっと聞いて」

「…なんですか?」

後ろから私を抱きしめたまま、東吾が静かに喋る。



「西条社長なんか止めてさ、オレにしない?」

「・・・え?」

「オレ、ずっとずっと、薫子の事が好きだったんだよ」