「ただいま…遅くなって悪かったな」

俺の言葉に、薫子はブンブンと首を振る。


「そんな!お仕事してたんですから、気にしないでください。

それより、お腹すきません?今出来上がったところなんです。

フフ、タイミングバッチリでしたね。食べましょう」

そう言って薫子はニコッと微笑んだ。


「ああ」

薫子の言葉に返事をし、手洗いを済ませると、テーブルについた。


「…美味い」

手の込んだ料理を作ってくれるとは言っていたが、

想像以上の出来に感心してしまう。


「そうですか?よかった~。約束を果たせていなかったから、

やっと、果たせて安心しました」


…気のせいだろうか?

薫子の笑顔がどこか切なげに見えた気がした。


美味しい料理を堪能して、片付けをしようと、薫子が席を立った。

「いい、薫子は座ってろ」

「そんな。料理は後片付けまで全部して完璧なんですから、

飛鳥さんは座っててください」


「いいから、座ってろ」

薫子を無理やり椅子に座らせる。

それを見届け、俺は片付けを始めた。