【飛鳥side】

…クソッ。何でこんなに仕事が終わらないんだ?

時計に目をやると、もうすぐ9時になろうとしていた。

コンコンと、万年筆をデスクに打ち付け、

イライラを何とか抑えながら、書類に目を通す。


「…社長、相当イライラしてますね」

頭上からそんな声が降ってきた。


「・・・仕事が終わらない」

「もうすぐですよ、今その書類を、終わらせれば、

星野さんに会えます」


眉をひそめる俺に対し、ニコッと微笑む石坂。


「・・・そんな事は分かってる」

そう言って、また書類に目を通す。


「いいですねぇ~・・・帰ったら、星野さんから

素敵なご褒美が待ってるんですよ」

そう言い残し、石坂は、社長室を出ていった。


・・・ご褒美?

一体何の?・・・考えただけで、顔が・・・



「…社長、顔がニヤけてますよ」

「?!」

・・・パタン。

出ていったわけじゃなかった石坂は、

俺の顔を見て、満足そうな笑みを浮かべ、

今度は本当に出ていった。