「そ、そんな、私は何も・・・」

私は両手を振り慌てる。だって、私は飛鳥さんに

何もしてあげられない、何かしてあげられるほど、

凄い人間でもない。



「そんなに難しく考えないでくださいよ。

何をしてほしいと言う訳じゃないんです・・・

僕はただ、ありのままの星野さんが、社長の傍にいてくれるだけでいい

そう思っているだけです」


「・・・」

石坂さんに、笑顔を作るほか、なかった。

私は傍にいる価値もない、ただの疫病神かもしれないのに。

そう簡単に頷けない。


…車を走らせること、20分。

飛鳥さんの家に到着した。


石坂さんは荷物を部屋まで運んでくれて、

ドアの所で別れた。

私はお礼を言って、一人中に入る。

…飛鳥さんの部屋に入るのは、これが初めて。

部屋の中は、モノトーンで彩られた、落ち着いた部屋だった。

…飛鳥さんらしいな。そう思うと、自然と笑みがこぼれた。


「…よし、始めるか」

キッチンも凄く綺麗で、使っていいか迷ったけど、

作ると決めてきたのだから、とあちこち探しまわりながら、

料理を始めた。