立ち止まったままの私の横を、

水野さんはそのまま通り過ぎて行った。

…足が震えていた。

・・・みっちゃんにも言われていた事だった。

…飛鳥さんにとって、私はただの疫病神でしかないんだろうか?



…飛鳥さん、私はどうしたらいいですか?

このまま付き合う事など、許されない事なんでしょうか?

こんなに飛鳥さんを愛しているのに、傍にいる事も、

貴方にとって、マイナスにしかならないんでしょうか?


気が付けば、私は自分の家に帰っていた。


「・・・もしもし」


…私は電話をかけていた。


『どうした?・・・声が暗いぞ?』

その低く優しい声は、本当に私を落ち着かせてくれる。


「…飛鳥さんに会いたいです」

『…9時ごろまで仕事がかかるから、その後なら会える』


「・・・飛鳥さんの家に、行ってもいいですか?」

『…構わないが・・・今どこだ?』


「自宅です」

『それなら、石坂を迎えに行かせる。

鍵を預けておくから、先に家にいろ・・・いいな?』


「わがまま言って、ごめんなさい」

声が震えないように、いつもような声を必死に出していた。

電話では、泣いてる顔は見えないから。