…このとんでもない構図に、その後の言葉が、

誰も出てこない。


「西条社長、初めまして、薫子の母のマリアです」

この場をもろともしない人物がいた。

…そう、お母様、その人だった。


そんなお母様の挨拶に、優しい笑みを浮かべた飛鳥さん。


「初めまして。西条飛鳥と申します。

薫子さんとはご縁がありまして・・・」

そこまで言って、またしても水野の声が邪魔をする。


「華蓮さん、増々綺麗になりましたね?

西条さんと、よくつり合う程・・・」

意味深な発言をした水野さん。

…私は、心の中不安で一杯で、今にも押しつぶされてしまいそうだった。

その横に立っているのは誰?

華蓮さん・・・私とは真逆の綺麗な人。

飛鳥さんとは、どんな関係なの?・・・まさか、

私との付き合いは、遊び?

考え浮かんでくるのは、悪い事ばかり。

いい方に考えなきゃいけないのは分かっているのに。


…気が付けば、私はよろめいていて、

それに気づいた水野さんが私を支えていた。

「気分がすぐれないんですか?…お車までお連れしましょう」

水野の言葉に、あまり乗り気ではなかったが、

お母様も、龍之介も、水野さんに私を任せていた。