次の日も、私はピッキングのバイトに励んだ。


パートの人達と昨日より話せるようになって、ちょっぴり楽しかった。


バイトが終わると私は、昨日の海岸へと向かった。


自転車だとすぐに着いたけれど、徒歩だと15分くらいはかかってしまった。


遠くで、波に乗っている人が数人見える。


えっ?


あれって…。


もしかして蒼甫君?


す、すごい。


まるでテレビか何かの映像を見てるみたい。


波をつかまえ、バランスをとって立ち上がる姿がすごくキレイだ。


素人目にもわかる。


蒼甫君はうまい。


そして、カッコイイ。


どうしよう。


なんだか目が離せない。


「どう?なかなかでしょ?」


ドキッとして声のした方を向くと、蒼甫君のおじさんが立っていた。


「蒼甫は10歳の頃から本格的にサーフィンを始めたんだよ。
それまでも海にはよく親しんでてさ。
おじの僕が言うのもなんだけど、なかなか才能あると思うんだよな」


そうなんだ。


知らなかった。


蒼甫君にこんな一面があったなんて。


「それにしても。
蒼甫がここに女の子を連れて来るのは、優月ちゃんが初めてだよ」


「えっ、そうなんですか?」


「もちろん、勝手に見に来る女の子達はいっぱいいたよ。
中学の頃なんか、そりゃすごかった。
でも、アイツが自分で連れて来たのは、優月ちゃんが初めてだよ」


初めてと聞いて、胸が高鳴る。


蒼甫君。


そうなの…?