あれだ。


黒いキャップにサングラス。


一際背が高くて、綺麗な身体つき。


茶色の髪がサラサラと揺れて。


あぁ…。


間違いない。


たった5メートル先に、蒼甫君がいる。


蒼甫君は、私を探してキョロキョロとしている。


こんなにお迎えの人がいたら、わからないよね。


「蒼甫君っ」


私の声に辺りを見回す蒼甫君。


気づくと、ピタッと立ち止まった。


サングラス越しに、見つめ合う私達。


彼はカツンと靴を鳴らすと。


真っ直ぐ私の方へ向かって歩いて来た。


ドクドクと心臓の鼓動が速くなっていく。


嬉しくて、目の前が涙で滲んでいく。



「優月」



そう言うと彼は両腕を広げて。



私をぎゅっと抱きしめた。