私が海外へ行った翌年に公開された彼の主演映画。


その作品で彼は、日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞した。


それからの彼の快挙はすごかった。


ドラマ、映画、はたまたアジアの作品にまで。


彼の演技力は日本国内に留まらず、海外でも高い評価を受けていた。


彼の成功は誰よりも嬉しかった。


あの時彼の手を離した事は決して間違いではなかったし、彼のために身を引いた自分を誇りにさえ思っていた。


遠く海外から、一ファンとして彼のことをずっと見守り、応援するつもりだった。


それなのに…。


彼の作品を見るたび、彼に関する記事を見つけるたびに、思いは募る一方で。


さらには…。


あの日手を離したことを、後悔することさえあった。